【特集】「骨太な進学校」として次世代を担う人材の育成に取り組む…昭和秀英

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  昭和学院秀英中学校・高等学校 (千葉市)で2024年4月、田中尚子氏が新しい校長に就任した。田中校長は、「骨太な進学校」を教育指針に掲げ、生徒の自己実現を支える教育を実践していく考えだ。就任以来、「秀英探究プロジェクト」や外部講師による探究講座など、次々と新しいプログラムをスタートさせた田中校長に、教育方針や、育てたい生徒像を聞いた。

「自律した自己」と「学力・教養」

「『骨太な進学校』として次世代を担う人材の育成に取り組んでいきたい」と話す田中尚子校長
「『骨太な進学校』として次世代を担う人材の育成に取り組んでいきたい」と話す田中尚子校長

 田中校長は、九州大学文学部を1981年に卒業後、福岡県や神奈川県の県立高校で国語科の教諭を務めた。その後、約5年の滞米を経て、2008年に昭和秀英の国語科教諭に着任した。学年主任、教頭、副校長、校長代行を歴任し、24年4月から現職。

  ――どんな教育を行っていきますか。

 本校はこれまで、「明朗謙虚」「勤勉向上」という校訓を礎に教育活動を行ってきましたが、校長に就任した24年度に「骨太な進学校」という教育指針を新たに掲げました。今後は、「骨太な進学校」として次世代を担う人材の育成に取り組んでいきたいと思っています。

 これだけ変化の激しい時代の中で次代を担う人材となるには、まず「自律した自己」を確立することが大切です。変化に対応できる「学力・教養」を備えることも重要です。この二つは、⾃分らしく⽣きるための「骨太な資質」と言ってよく、このような意味を込めて、新しい教育指針を「骨太な進学校」としました。

 中高生の頃は「自分らしく生きなさい」「夢を持ちなさい」と言われることも多いと思いますが、初めから自分らしい生き方がわかるわけではない。それは自分で作っていくもので、やがて社会に出て自分らしい生き方が花開くものだと思います。そのための資質をこの昭和秀英で育んでいきたいということです。

  ――進学実績について具体的な目標はありますか。

 国公立大や難関私立大に何人合格といった目標を掲げているわけではありません。進路決定にあたっては、自分らしさを大切にして、より高いレベルをめざしてほしい。生徒たちが「希望の研究ができる」「カリキュラムや研究室が充実している」などの観点で大学を選んだ結果、それが進学実績の向上につながればいいと思っています。

探究の芽は、毎日の授業や学校生活の中に

  ――探究に関する新しいプログラム「秀英アカデミア」が始まりました。

雄飛祭(文化祭)で研究成果を発表する高2生
雄飛祭(文化祭)で研究成果を発表する高2生

 「秀英探究プロジェクト」は、自主的に探究学習に取り組む有志グループを支援するもので、24年度に始めたプログラムです。対象は中1から高3まで全学年の生徒ですが、個人ではなくグループを応募要件としました。グループの中に高校生が入っていることも要件です。4月に募ったところ、三つのチームから応募がありました。

 プレゼンテーションを行い、審査の結果、高2生の5人が企画した探究課題「江戸藩邸の屋敷神について」を選定しました。彼らは、日本史の授業で、各藩の江戸藩邸内に「邸内社」という神社があったことを知り、藩政と信仰との結びつきについて調べてみたいと思ったそうです。支給された研究費で5人は夏休みに東北、関東、中部、四国、九州で現地調査を行い、9月の雄飛祭(文化祭)で研究成果を発表しました。よくこれだけの調査・検証を行ったものだと感心しました。

 24年度は外部講師による探究講座も開設しました。放課後や長期休業中に単発で実施するもので、全学年の生徒が参加できます。初年度は19講座を開講し、参加者が多い講座では70~80人の生徒が受講しました。「スタートアップ企業による『アントレプレナーシップ教育』講座」などが人気で、特に加藤泰浩・東京大学工学部長の講演「みんなで未来を拓いていこう~工学は未来を拓く」は盛況でした。講演終了後もたくさんの生徒が加藤教授に質問をしていました。

 化学、数学、情報オリンピックや模擬国連大会、ストックリーグなど全国レベルのコンテストにも挑戦し、成果をあげるようになってきました。

盛況だった加藤泰浩・東京大学工学部長による探究講座
盛況だった加藤泰浩・東京大学工学部長による探究講座

 24年度から進めている「生徒の学びを駆動させる」取り組みを、25年度は「秀英アカデミア」と位置づけ、「探究講座」「秀英探究プロジェクト」「外部の学びへの挑戦」を三つの柱にして推し進めていきます。

 本校のスクールガイドでは、探究学習をトピックとしてはいません。探究のスタートは「おもしろい」と思うことであって、通常の授業や学校生活の中に探究の芽があるべきだからです。秀英探究プロジェクトで日本史の授業から探究テーマを見つけたように、授業とは本来、生徒の知的好奇心を喚起するものであるべきで、本校はこれまでずっと探究教育に取り組んできたのだとも言えます。自律と基礎学力、探究力は相互にリンクしていますので、探究に取り組む中で「自律した自己」を確立し、「学力・教養」を高めることができるのではないかと期待しています。

  ――神田外語大学との高大連携プログラムの特長は。

スウィンバーン工科大学サラワク校での海外研修プログラムに参加した生徒たち
スウィンバーン工科大学サラワク校での海外研修プログラムに参加した生徒たち

 校長代行を務めていた23年度に、神田外語大学から高大連携のお話をいただき、マレーシアにあるスウィンバーン工科大学サラワク校での海外研修プログラムを開始しました。対象は高1と高2で、参加者は豊かな自然と先住民の文化が残るサラワク州クチンに2週間滞在し、伝統文化などについて学びます。さらに24年度は、カリフォルニア州立大学イーストベイ校での研修プログラムも実施しました。9日間の研修期間中に、語学研修のほか、スタンフォード大学訪問、Google本社訪問などが組み込まれたプログラムになっています。

 このほか、神田外語大の語学専任講師による「Academic Reading & Writing講座」や、海外大学進学を希望している生徒向けの支援プログラムもあります。本校の生徒たちが、こうした高大連携プログラムを通してグローバルな視点を持ってくれることを願っています。

生徒たちの躍動感に手応え

  ――この1年で生徒にどんな変化や成長が見られましたか。

 生徒たちに躍動感が出てきたなと感じることがよくあります。24年度は、生徒から「学校指定以外のコートも着用できるようにしてほしい」という要望があり、自由に選べるようにしました。生徒会からは、来年度の委員会組織を変えたいという要望書も出ています。こうした動きを見ると、自分たちがやりたいと思うことを提案する流れができてきたのだなと手応えを感じます。

  ――受験生や保護者へのメッセージはありますか。

 「自己実現」と言っても、小学生のうちは自分が何をやりたいのかわからなくて当たり前です。昭和秀英の6年間で「なりたい自分」を作っていくための資質を身につけていただければと思います。失敗を恐れず、いろいろなことに挑戦したいという意欲を持ったお子さんに来ていただきたいと思っています。

 (文:岡崎智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:昭和学院秀英中学校・高等学校)

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