進行がん治療費、月50万円以上が6割…高額な新薬登場相次ぎ「社会全体で考える時期来ている」

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 手術で切除できない進行がんで薬物治療を受ける患者のうち、6割が1か月あたりの治療費に50万円以上かかっていることが、がんの専門医でつくる日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)による初の実態調査でわかった。近年、新しいタイプの高額な治療薬の登場が相次いでいることが背景にある。

進行がんの高額な治療費の一例
進行がんの高額な治療費の一例

 調査には、がん治療にあたる延べ400以上の医療機関が参加し、肺や乳、肝臓、大腸など17種類のがんについて分析した。最も病期が進んだ「ステージ4」などの患者で2021~22年に初回治療を受けた約1万6000人を対象に、1か月にかかった薬剤費と関連費用を調べた。

 この結果、1か月あたりの治療費が「50万円以上」かかった患者の割合は59%に上った。患者の17%は「100万円以上」かかっていた。例えば、肺がんでは、「進展型小細胞」と呼ばれるタイプで138万円かかったケースがあった。乳がんでは、難治性の「トリプルネガティブ」というタイプでは118万円に上った。ただ、患者の自己負担は、公的医療保険や高額療養費制度によって抑えられる。

 近年、がん細胞を狙って攻撃する「分子標的薬」や、患者の免疫の攻撃力を高める「免疫チェックポイント阻害薬」が登場している。例えば、免疫チェックポイント阻害薬の「オプジーボ」と他の薬を組み合わせた胃がんの治療では、月77万円かかっていた。グループによると、治療費は従来の抗がん剤が主流だった15年前と比べ、10~50倍に膨らんでいるという。

 調査に参加した国立がん研究センター中央病院の後藤 やすし ・呼吸器内科長は「医師は、患者に最善の医療を提供するのが大前提だが、現在のように費用を意識せず、薬を使い続けるには限界がある。費用も踏まえ、どう治療を最適化すべきか、社会全体で考える時期に来ている」と指摘する。

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