元海上自衛官が案内、軍用ボートでめぐる十和田湖のパワースポット
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青森生活をさらに充実させるため、運気をチャージしたい。 前回取材した奥入瀬渓流 の源、十和田湖でパワースポットを巡るツアーがあるという。それも、軍用ボートで。期待に胸を膨らませ出かけてみた。

春夏秋は「湖の男」、冬は「海の男」
1月下旬に訪れたとき、奥入瀬渓流沿いの道路はまだまだ雪に覆われていたが、今回の取材で訪れた5月は春本番。新緑のトンネルを抜けると雄大な十和田湖が見えてきた。湖畔を走ると、リブボート発着場の小屋が見えてきた。「ようこそ十和田湖へ」。運営するリブパイオニア(株式会社レヴリー、十和田市)代表の豊島学行さん(50)が迎えてくれた。元海上自衛官。退職してからは航海士の免許を取得し貨物船や客船に乗務していた。商船三井「にっぽん丸」の航海士として乗務したこともある。十和田湖の活性化のためにボート事業を始めて7年。今もオフシーズンは貨物船の船長として乗務している。春夏秋は「湖の男」、冬は「海の男」なのだ。
まずは、小屋に備え付けのコート、救命胴衣を着用した上で、注意事項を聞く。「キャプテンの指示にしたがう」「許可なく立ちあがらない」「高速での旋回や、波を越えたジャンプをすることがある」など。
英国軍特殊部隊が使用、湖畔ぎりぎりまで近づける

リブボートとは、リジット・インフレータブル・ボートの略。船底は普通のモーターボートだが、周囲がゴムボートのようなチューブで覆われている。空気室は5、6に分かれており、1か所がつぶれても沈まない構造になっている。リブパイオニアで使用しているのは英国軍特殊部隊が使用しているものと同型。機関銃を載せて上陸するためにつくられた舟なので、12人乗っても飛ぶようなスピードで走るし、陸側からたどりつけない湖畔ぎりぎりまで近づくことができる。観光用に導入しているのは全国でも数少ないそうだ。
いざ出発。全国各地の遊覧船やボート、舟に乗せてもらってきた筆者だが、今回はまったく違う。とにかくスピードが速い。時速60キロというが、水面に近いし、風をさえぎるものもないので、100キロぐらいに感じる。水面に滑るように着水した船の動きに驚いた。
最初の見所は、「イトムカの入り江」と呼ばれる神秘の入り江。高速で飛ばしていた時とは打って変わり、静かな入り江だ。豊島さんが「入浴剤をまいているのできれいなエメラルドグリーンです」と冗談を言う。もちろんそんなわけない。天然の美しさ。倒木が沈んでいるが腐っていない。十和田湖の水の8割は湧き水。とてもきれいなので、いつまでも腐らないのだとか。岩に生えたこけも美しい。
願いを込めて「おより紙」を湖面に落とす、クルーズのハイライト・占場

そして、ハイライトの占場。ここで運気をチャージ。十和田湖畔には、本来生えていないはずの杉の木が生えている。先人が、ご神木として植えたものとされる。十和田神社本殿の裏に位置するが、陸側からは近づくことができない。ここで、神社でご
溶岩でできた剣岩、クマにも見える烏帽子岩

続いて剣岩。溶岩でできた岩石が崩れてきた奇岩だ。下に向かってとげとげになっている様を、剣に見立てた。青森・秋田両県にまたがる十和田湖。火山の噴火でできたカルデラ湖だ。十和田火山は「常時観測火山」。豊島さんが、「噴火したら読売新聞一面ですね」と笑う。
2色だけど五色岩、竜の血が染めた赤?

伝説では十和田湖の主の座を巡って、竜の八郎太郎と南祖坊が戦ったとされる。その際、流された血が染めたといわれるのが真ん中の赤い岩。酸化鉄だ。その上が黒い溶岩。「なんだ2色だけじゃないか」と思っていたら、豊島さんが「空の青、樹木の緑、湖面の青を合わせて5色です」と説明してくれた。なるほど。

クルーズも終盤にさしかかり、洞窟が見えてきた。「
50分間のクルーズ。目的地間は高速移動、パワースポットでは湖畔ぎりぎりまで近付いて停止し、ガイドの説明にじっくり耳を傾ける。リブボートの特長を最大限いかしたツアーだった。遊覧船に比べてお値段は高い(1人6000円)かもしれないが、その価値は十分あると思う。開運祈願のため毎年参加する人、四季折々の風景を楽しむために年3、4回も参加する人など、リピーターが多いのもうなずけた。
