珠洲の伝統つなぐ若い力 大谷町移住者ら きょう2年ぶり「鯉のぼりフェス」

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

ボランティアや地域住民らと「大谷鯉のぼりミニフェスティバル」の準備を進める坂口さん(右)(3日、珠洲市で)=桐山弘太撮影
ボランティアや地域住民らと「大谷鯉のぼりミニフェスティバル」の準備を進める坂口さん(右)(3日、珠洲市で)=桐山弘太撮影

 昨年の能登半島地震と豪雨で二重被災した珠洲市大谷町で4日、伝統の「 こい のぼりフェスティバル」が開かれる。度重なる災害に加え、高齢化も進んで開催が危ぶまれていたが、移住者も含めた若者たちの力で2年ぶりに再開する。中心となる坂口彩夏さん(26)は「復旧の最中だが、地域住民の再会の場となり、見た人の心に刻まれれば」と力を込める。(宮本悠希)

 約190匹の色鮮やかなこいのぼりが春風に吹かれて空を舞う、同市立大谷小中学校近くの空き地。イベントの開催を翌日に控え、坂口さんはテントやテーブルの準備に追われていた。約40人のボランティアや地元住民の中心で「手が空いている方、お願いします」と呼びかけ、周囲の人からは「幹事長!」と親しみを込めた声が響く。

 千葉県出身で俳優をしていた坂口さんは昨年4月初旬、地震で集落の孤立が相次いだ大谷町を訪問。災害ボランティアとして避難所の炊き出しなどを行った。

 多くの地域住民が避難生活を強いられる、被災地の過酷な状況を目の当たりにし、「胸の痛い情報が多くてショッキングだった」と振り返る。支えとなったのはベテランのボランティアから聞いた「長く来るのが一番の支援」という言葉だった。

 その後も毎月のように通い、昨夏は避難所で誕生日を祝ってもらった。住民の優しさに触れ、昨年10月、「復興に付き合います」と大谷町に移り住んだ。

 住民と一緒に生活をするようになると、「こいのぼりはいつできるんやろな」という声を何度も聞いた。大谷川の上に約450匹のこいのぼりを飾る「大谷川鯉のぼりフェスティバル」は、40年前から続く春の風物詩。誰もが地域の宝として、楽しみにしていた。

 昨年は地震の影響で中止となり、今年も会場の大谷川では工事が続く。地元住民による運営団体「一歩の会」で事務局長を務める吉原忠男さん(74)も「会員は平均で70歳以上。こんな状況では開催できない」と諦めかけていた。

 そんな中、坂口さんが所属するNPO法人「外浦の未来をつくる会」が場所を変えた開催を提案。同会の若者たちと一歩の会が協力し「大谷鯉のぼりミニフェスティバル」として再開にこぎつけた。

 吉原さんは「若い人たちが協力してくれて感無量。できるならずっと続けてほしい」と話し、坂口さんも「これをきっかけに交流が進めば」と意気込んでいる。

石川の最新ニュースと話題
スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

使い方
「地域」の最新記事一覧
注目ニュースランキングをみる
記事に関する報告
6604619 0 ニュース 2025/05/04 05:00:00 2025/05/04 05:00:00 2025/05/04 05:00:00 /media/2025/05/20250503-OYTNI50067-T.jpg?type=thumbnail

主要ニュース

おすすめ特集・連載

読売新聞購読申し込みバナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)