北陸新幹線敦賀以西の延伸を巡り、石川県が12日に都内で開かれる建設促進大会の決議案に修正を求めたことが1日、分かった。決議案を作成した福井県に対し、例年通り小浜ルートでの整備を国に訴えるだけでなく、小浜での整備が難しい場合は米原ルートを含む他の選択肢も検討するよう要求している。米原への再考論の高まりを受けて決議案に待ったを掛けた格好だが、福井県が米原に言及するのは受け入れがたいとみられ、文言の調整は難航必至だ。

  ●文言調整は難航必至

 大会は石川や福井、京都など沿線10都府県でつくる北陸新幹線建設促進同盟会が主催する。整備の旗を振る同盟会の最大の行事として、現時点で沿線の知事や国会議員、鉄道・運輸機構など約250人が出席を予定している。

 事務局の福井県は大会に向け、4月下旬に決議案の文案を沿線都府県に送付した。おおむね前年と同じ内容で、現行計画の小浜ルートを前提に全線整備を急ぐよう国に求める内容になっているという。

 関係者によると、この決議案に対して石川県は、京都府内の課題の早急な解消を訴えるよう要請。加えてそれが困難な場合は、米原ルートへの再考を促す文言を明記するよう主張した。

 京都府内を縦断する小浜ルートについては昨年12月、着工議論を進める与党整備委員会のヒアリングに対し、西脇隆俊京都府知事が地下水への影響や建設残土処理などの懸念を伝達。これに先立つ同年7月には、石川県が事務局を務める北陸新幹線建設促進県民会議が「小浜ルートに大きな課題が明らかになる場合、米原ルートも含め、検討すること」とする決議を採択している。

 今年に入り、馳浩知事は県議会2月定例会で「米原への転換」に初めて言及した。こうした状況の変化を念頭に、県は決議案の修正を求めたとみられる。

  ●福井「調整中」

 福井県は5月上旬にも、決議案を再度沿線に示す見通し。ただ、「米原ルート」の文言を加えることは極めてハードルが高いようで、同県新幹線建設推進課の担当者は北國新聞社の取材に対し「現在、沿線と調整中だ」と述べるにとどめた。

 一方、馳知事は4月21日、報道陣の取材に対し、建設促進大会が「一つのポイントだ」と強調した。ある県関係者は、県内では米原ルートを求める声が強まっていることを挙げながら、「仮に決議案の文言が例年と同じなら、馳知事は大会に出ないだろう」と語った。

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