2026年4月末までに閉鎖することが決まった石川サンケン志賀工場=志賀町末吉小崎

  ●雇用維持、県内2工場は生産継続

 サンケン電気(埼玉県新座市)は18日、能登半島地震で被害を受けた半導体製造の子会社石川サンケン(志賀町)の志賀工場について、2026年4月末までに閉鎖すると発表した。地震による地盤沈下で建物の基礎などが破損、長期的に安全性を保って稼働することが困難と判断した。従業員約300人についてはグループ内での配置換えを進め、雇用を維持する。

 石川サンケンは自動車や白物家電向け半導体の後工程を手掛ける。本社・堀松工場と志賀工場(いずれも志賀町)、能登工場(能登町)の3カ所に製造拠点があり、志賀工場以外は稼働を続ける。

 サンケン電気や石川サンケンによると、志賀工場は石川の拠点として1964(昭和39)年に開設され、改修や増築を重ねてきた。

 元日の地震による地盤沈下で敷地内に陥没や亀裂が生じ、建物が傾くなどした。2月に生産を再開し、建物の修繕を検討したが、基礎を補修するには長期間のライン停止を余儀なくされることが判明。施設の老朽化が進んでおり、再整備する場合の費用負担も多額になることが見込まれることから、閉鎖を決めた。

 志賀工場の製品は、一部を除き石川サンケンの他の工場や国内外のグループ拠点に生産を移管する。担当者は「従業員の雇用を守り、生産の移管をしっかり進めたい」と話した。

  ●10億円の特別損失

 サンケン電気は志賀工場閉鎖に伴い、工場建物などの固定資産除却により、2024年9月中間期の連結決算で約10億円の特別損失を計上する見込みだと発表した。他の拠点への設備移管・除却などの費用は今後計上する。新たな通期の連結業績予想は、11月14日の中間期決算発表に合わせて公表するとしている。

無断転載・複製を禁じます