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「時計はシェイプ、名品さらに磨く」カルティエ流の極意

なぜ売れる?高級時計&ジュエリー 人気ブランドに聞く(5)

2024.2.15

繊細さと力強さを併せ持つ「クラッシュ [アン]リミテッド」

世界屈指の宝飾ブランドであるカルティエが今、時計業界で一段と存在感を増している。スクエア型の「サントス」、オーバル(楕円)が美しい「ベニュワール」、戦車をモチーフにした「タンク」――。カルティエにはメゾンを代表するコレクションが数多くあり、それらの名品が時代を超えて進化を遂げている。カルティエ インターナショナル マーケティング&コミュニケーションディレクターのアルノー・カレズさんは、カルティエの時計が独特の立ち位置を獲得できた理由は「シェイプのユニークさにある」と明言する。




――近年、カルティエの時計のラインアップ充実には目を見張るものがあります。数多くのエキサイティングな新作も発表してきました。現状をどう評価しますか。

「カルティエの時計ビジネスの状況は現在、極めて好調といえるでしょう。2022年〜23年のマーケットシェアは競合他社に比べても順調に拡大しています。グローバルな規模でカルティエの時計を望む消費者がより増えている、ニーズが高まっていると強く感じています」

カルティエ インターナショナル マーケティング&コミュニケーションディレクターのアルノー・カレズさん

「カルティエは今、時計市場でシェア2位の立場を確立しています。同時に、この業界で独特のポジションを固めたという自負もあります。カルティエは『シェイプ(形状)』作りを得意とするメゾンだ、と認識されているのです。つまり、形やフォルムこそが我が社の強みなのです」

他社にないフォルムを手厚く

――確かに昔から形、フォルムの側面で業界をリードしてきた印象が強いですね。第1次世界大戦前に開発された「サントス」は、懐中時計全盛の時代にあえて直線的なデザインを取り入れた、角形ケースが特徴的です。ベゼルのビス留めを隠さず、そのまま装飾にしている点も印象的です。

「スクエアだったり、丸かったり、長方形だったり。競合他社がフォーカスしていないフォルムの時計を手厚くそろえているからこそ、これが強みだと言い切ることができるのです。我々は『Watchmaker of Shape(ウオッチメーカー・オブ・シェイプ)』を自負しています。その名に恥じないよう、毎年様々なフォルムの製品を発表し続けているのです」

「サントス」