編集長がホテルのおいしいものや楽しみを探しに行く「hotel TIPS」。2019年のブーム以来、広く親しまれるようになった高級食パンの逸品を取り上げます。当時、火付け役となったのは、生でもおいしく食べられるという触れ込みの食パンで、街中のあちこちに専門店ができました。
この「生食パン」を、研究を重ねた末にホテルならではのクオリティーに仕立て上げたのが品川プリンスホテル(東京・港)です。今では首都圏にある他のプリンスホテルでも販売する自信作、いったいどんな味わいなのでしょう。
素材の配合突き詰め 水は「南魚沼」から
「ブーランジュリーシナガワ」に並ぶ高級食パン「み乃里」は1.5斤のお値段が1420円。スライスすると中はふわっふわで、口にいれると芳醇(ほうじゅん)な香りと甘みが広がります。きめ細やかなパン生地はとろけるよう。
これをトーストしてみれば、かりっとした耳の香ばしさと中に閉じ込められた水分のバランスが絶妙で、生食とは全く異なる味わいと口当たりを楽しめます。

品川プリンスホテル「ブーランジュリーシナガワ」の「み乃里」
「こだわりのポイントは生クリームです。1キロの小麦粉に対して500ccの割合で使います」とベーカリーシェフの安村洋介さん。なるほど、芳醇な香りの正体は生クリームだったのですね。「しっとり感を出すために、生クリームと蜂蜜、水あめ、新潟の南魚沼の水、この4つの材料を使うんですよ」