シャネルから登場した、この上なくラグジュアリーなリップスティック「トランテアン ル ルージュ」。シャネル史上初のガラス製ケースと、12色のシェード(カラー)に秘められたブランドの歴史と逸話を探ってみた。
らせん階段から着想 光煌めくガラスのケース

パリの中心部、カンボン通り31番地の本店ブティック(1階)と同じ建物の3階に位置するアパルトマンをつなぐ鏡張りのらせん階段 Photo:(c)CHANEL
モードの都、パリ。フランスの首都として知らない人はいないであろうその都市は、20の行政区に分けられている。中でも市のほぼ中央に位置し、ルーヴル区とも呼ばれるのが1区。ルーヴル美術館をはじめ、パレ・ロワイヤルなどの観光スポットも目白押し。ハイブランドが軒を連ねるヴァンドーム広場もある地区だ。そのカンボン通り31番地にあるのがシャネルの本店ブティックである。
1階にあるブティックは、シャネルのモードを世界に向けて発信する基地であり、ブランドの象徴とも言える場所。建物の3階にはシャネルの創始者であるガブリエル・シャネルのアパルトマンが、そして4階にはシャネルのモードを生み出すクチュールのアトリエがあるのだが、ブティックとアパルトマンをつなぐのがらせん階段だ。
ガブリエル自身や、シャネルの衣装をまとったモデルたちを被写体として撮影された数々の写真にも使われたモニュメントでもある階段。壁に鏡を張りめぐらせたそのらせん階段から着想して誕生したのが、シャネルの新しい口紅、トランテアン ル ルージュだ。
口紅としては初めてガラス製のパッケージを使用。なんと4年の歳月を費やして完成させたものだ。光のプリズムのように煌(きら)めくそのケースは、大胆かつアヴァンギャルドなシャネルのスピリットを間違いなく表すもの。ラグジュアリーの極みにして、至高のルージュとも称したい存在なのだ。